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| 「誰よりも、そばにいる」 (4)こたえ 地元の大学に入った奏大の後を追うように、一年後逢理も同じ大学に入学した。 難関とはいえないかもしれないが、一応公立大学で、それなりの学力は必要だった。 「逢、よく入れたな」 と、奏大が言うと、逢理は 「奏大に入れた大学だもん」 と舌を出した。 高校も公立だったが、そのときにも奏大が 「逢、よく入れたな。なんでここ選んだんだ?」 と聞くと、逢理は 「奏大が入れた高校だから、私も入れるって思った」 とニヤリと笑った経緯がある。 大学には立派な野球部があったが、奏大は野球サークル、略称BCに所属していた。 奏大は、野球は楽しむものと決めているので、男女織り交ぜて、週に一回の練習と、週に2日ほどのミーティングという名の懇親会とで運営されているBCに共感したのだ。 当然、逢理が入学したときに、彼はこのBCに入会するように勧誘した。しかし、逢理は高校や中学でも部活を共にしなかったのと同様に、BCに入ろうとはしなかった。 理由は明快だった。 「野球嫌いだもん」 その答えを奏大は何度も聞いていた。 中学のときも高校のときも、マネージャーになってほしいと頼んだ時に、逢理に断られていた。でも今度ばかりは、半分遊びのようなサークルだし、逢理も入ってくれるのではないかという期待を持っていた。 しかし、見事にフラれた。 それなのに。 奏大は少し首をかしげる。 毎週水曜の午後4時からBCは練習もそこそこに、大学の近くの公園でゲームをする。草野球だ。 その公園に、逢理は決まって姿を現す。 そして、誰よりも熱く応援している。 コンビニに入って、奏大は雑誌コーナーで立ち読みしていた。 ちょうど、客は誰もいなかった。 レジカウンターの中から、逢理が出てきて読み散らかされた雑誌を揃え始めた。 そんな逢理の姿を見ることも無く、奏大は独り言のようにつぶやいた。 「明日、水曜だけど、来る?」 逢理もやはり作業の手を休めることも無く、奏大の方を見もしないで答えた。 「わかんない」 奏大は雑誌を閉じた。 「そか」 そのまま雑誌を返すと、奏大は店を出て行った。 彼は自分のバイト先へと向かった。 雨上がりの夕方。辺りはオレンジ色に輝いていた。 |
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