good morning

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「お見合い結婚」 -はっぴぃ☆らっきぃ☆続編-

(2)遠距離・婚

 10月も半ば、未だ恵太さんは三重県から帰って来ず…。
 あんまりヒマなので、私はずーっと、実家に帰っていた。一日中姉の子供3人の子守だけど、一人ぼっちでいるよりは、いくらかマシ。

「未散、あんた三島屋、退職せえへんかったらよかったねえ。」
 お母さんが苦笑しながら言った。
「うん…」
 ぼうっとしたまま、頷くと、美郷お姉ちゃんが言った。
「パートに出たら?」
「パート?」
 なんか、急に寂しくなってきた。いつまで続くんだろう、こんな生活。
 でも、確かに、家計の足しにパートに出るのはいいかも。だって、電話代が高くつくからって、満足に話もできない現状だもん。毎日のことだから、1時間くらいがリミットかなぁ。それでもあっという間に時間は過ぎて、結局3時間くらいしゃべってたりして…。
 おもいっきり長話しても平気なように、パートに出ようかなぁ。ちょっとの間だけ。出張が減ってきたら、やめればいいんだしね。


 いつものように、夜になると、恵太さんが電話をかけてきてくれた。
『え? パートに出たい?』
 恵太さんは電話口で驚いていた。
「うん。ほら、私、昼間ヒマだし…」
 恵太さんは少し沈黙していた。
『手取り40じゃ、足りない?』
「そんなことないない。」
『これでも、20代の営業の中じゃ、かなりいい方なんだけど…』
「うん、うん。わかってる。恵太さん、頑張ってくれてるもん。出張山ほどしてるしね。」
『…ごめん。出張ばっかで…』
「あ、ううん、そういう意味じゃないんだけどお…」
 私は電話ではうまく説明できなくて、もどかしかった。
「ほら、気兼ねなく思いっきりケータイで夜中までしゃべれたらいいなあって思ったの…」
『あー。』
 恵太さんはなんだか低い声で頷いていた。
『ごめん。出張が多くて…。結局、それが問題なんだよなぁ…』
 まぁ、そうなんだけど…。
 電話より、やっぱり、側にいたい。
「でもそれはしょうがないことだから。」
 私はわざと、明るい声を出した。
「仕事すると、気分転換にもなるでしょ? ダメ?」
 すると、恵太さんは、また少し沈黙して、そして困ったように言った。
『オレ、もっと仕事がんばるから。…だから、パートになんて出ないで欲しい。』
「え?」
 これ以上、頑張ったら絶対過労死するから!
『もっとがんばって、収入増えるようにするから。』
「どうして??? 頑張らなくっていいよ、無理しないでよ。」
 あまりにも深刻な恵太さんの答えに、私は驚いていた。
『どうしてって…』
 恵太さんは、言いにくそうにしていた。
『三島屋にいた、竹内みたいなのが、またいるとイヤだから…』
「竹内…」
 竹内フロアマネージャー。私が仕事していた三島屋という百貨店で、妙に私に絡んできた人だった。
 そうなんだ。
 恵太さんったら、ちょっとはやきもち焼いてくれるんだぁ。
 そう考えて、ちょっと嬉しく思っていたら、恵太さんは結構マジだった。
『やきもち? 冗談じゃないよ。オレは必死だよ。側にいれないんだから…。守りようが無いんだから…』

 結婚してるのに…。
 なんだか遠距離恋愛してるみたい。
 だから、恵太さんの気持ち、すっごく嬉しかった。ヨメになった瞬間に、放置されちゃうのかと思ってたよ〜。
 大丈夫、私は恵太さんしか見てないもん。
 なーんて、ちょっと電話で言うの、恥ずかしかったから、言わなかった。

 その言葉の代わりに、訊く。
「いつ帰れるの?」
 恵太さんは、うーんとうめくような声を出した。
『ごめん…。また1週間延びるかも…。』
「えええ〜〜?!」
『ほんと、ごめん。』
 謝ってばかりの恵太さん。早く会いたいよ。お休みは一体、いつなの?
『今週末の土日、家に帰ろうかなあ…。三重県って近いもんなあ。』
 うんうんっ! そうしようよ。
『でもさ、一緒にコッチに来てる上司が、離婚したばっかりでさ。土日とか、一緒に釣りしようとか言うんだよな…。こっちは新婚なんだっての。分かってくれないんだよなあ…。』
 …ガックシ。
『いや、なんとか、今週末は帰る! 絶対帰る! 誘われたって、オヤジが危篤だとかなんとか言って、帰ってくる!』
 ほんと? ほんと? やったぁ!
「じゃあ、パートなんか行かないで待ってる!!!」


 週末なんですけど。

 うん。今日は、土曜日です。

 恵太さん。私たちの部屋ですよね?

「未散ちゃん、あんた、お料理下手やなあ。もっと勉強せなあかんわ。」
 恵太さんの伯母さんがソファにどっかり座っている。
「す、すみません。」

「おばさん、あんまり言うと、未散さんに嫌われるよ。」
 恵太さんの妹の篤子さんが、テレビを見ながら笑っている。
「あ、あの篤子さん、何か食べません?」
「私はいらなーい。」

「未散ちゃん、恵太のズボン買ってきたんだけど、これ、どうかしら。」
 恵太さんのお母さんが、リビングで袋を開け、買ってきた衣類を並べている。
「はい。ちょうど買おうと思ってたんで、良かったですうぅ。」

 そこへ恵太さんが帰宅。
 きゃ〜〜、恵太さ〜ん。久しぶりに会えた!!!
 でも、菅野家の女3人を見つけると、げんなりした顔で、恵太さんは部屋の奥に逃げ込んでしまった。
「恵太、こっちおいで!!」
 伯母さんの大きな声が響く。
 恵太さんは私を手招きして囁く。
「み、未散ちゃんが呼んだの?」
 呼ぶわけないでしょ!!! ありえない!!


「悪いけど、オレ、あいつらの相手すんの苦手だから、風呂入って、今日は寝させてもらうな。」

 えええ〜?
 そんなぁ…。
 恵太さんのバカ!!!!!!

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