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| 「お見合い結婚」 -はっぴぃ☆らっきぃ☆続編- (3)やっぱり……? ふと気付くと、隣で眠っていたはずの恵太さんが、ゆっくりと身を起こしていた。 「恵太さん…?」 私は恵太さんに見つめられていた。 微妙に震える視線が、すごく切なくて、ドキドキする。 「未散ちゃん…」 やった、ようやく願っていた瞬間がやってきたっ! でも、どうしよう。やっぱり、はずかしいってえええ〜。 「ずっと、独りぼっちで留守番ばっかさせてて、ごめんね。」 「ううん。ぜんぜん。」 必死で首を振って、笑顔を作る。 恵太さんが大好きなのに、間近で見る恵太さんの真剣な瞳には、恥ずかしくて、目をそらしてしまいそう。 「未散…さん…」 やだ。いつもどおり、ちゃん、でいいよ。 ううん。結婚したんだもん。未散って、呼び捨てでいいんだから…。 「恵太さん…」 恵太さんの手が私の頬を包み込んで、ゆっくりとその唇が、私の唇へと…。 「未散さん…」 きゃああああ〜〜。 「未散さん!?」 「未散さんって!!!」 「はい?」 私は跳び起きた。 ベッドで、寝ていた私の前には、伯母さんとお母さんが不思議な顔で、私を見ている。 「未散さん、いつまで寝てるん? もう恵太仕事に戻ったよ?」 「え??」 私は呆然とした。 じゃあなに? さっきのは、夢だったの??? 末期だわ。こんな夢見るなんて…。寂しすぎるよおおお。 日曜の朝から、私は菅野家の女性3人と、なぜか私と恵太さんの部屋で、笑っていいとも増刊号を見ている。 なんでよ? 「なんで、恵太さん、そんなに早く戻っちゃったんですか…」 不機嫌な声がそのまま出てしまう。頑張る気にもならない。だって、こんなのひどすぎる。 「上司に呼ばれたらしいよ。月曜の仕事の打ち合わせがあるとかで。」 妹の篤子さんが、ニヤニヤと笑っていた。 「そうですか…」 せめて、私を起こしていって欲しかったわよ。恵太さんに、いってらっしゃいも言えなかったなんて…。 「お母さん、お店の方、ほっといていいんですか?」 私は、菅野家が営んでいる、年中無休のはずの風呂屋のことを思い出して、きいてみた。 「ああ、ええのええの。ウチの風呂屋、そろそろたたもうかって、お父さんとも話してんのよ。」 「え? ほんとですか?」 「うん。ほら、なんとかスパとか言って、いろんなお風呂屋さんができてるやん? ウチみたいな古い風呂屋は、どうせ勝たれへんしねえ。」 お母さんは風呂屋をたたむことが嬉しくてしょうがないんだろうか。にこにこしている。 「まあ、留太も戻ってきたしなぁ。」 「え? 留太さんって、あの、行方不明だった恵太さんのお兄さん?」 私が伯母さんの一声に、びっくりして振り返ると、伯母さんはニヤリと笑った。 「留太、カッコよかったでえ。家に帰ってくるなり、ぽんと500万、お父さんの前に出して、使ってくれ、ゆうてな。」 「ええ〜、ほんとですか。」 ほんとだろうな。なんたって、職業、ホストだし、恵太さんとそっくりのオトコマエだもん。 私は前に一度、留太さんに会ったことがあるのだ。 「まあ、それで、借金も返せたし、何より、留太が戻ってきてくれたから、ウチら、安心やわあ。」 お母さんは、留太さんが帰ってきたことが嬉しくて、にこにこしてたのか。 でも、ちょっと心外だわ。留太さんは、お父さんが危篤だったときでも戻ってこなかった人なのよ。恵太さんの方がよっぽど優しいし、いい息子だと思うわ。そりゃあ、500万なんて大金、ぽんとは出せないけどさ。 「未散さん、留兄ね、いつのまにか会社興してたんやで。ビックリやろ。」 篤子さんが、私の不機嫌な顔を見て、さらに面白そうに言った。 「今話題の、ネットビジネスとかでさ、何してんのか、よく知らないけど、年商1億とからしいよ〜。」 それは、スゴイ。 たしかに、恵太さんが必死に働いても、年俸は…いや、何を考えてるのよ。私は恵太さんがいくら稼ごうが、関係ないんだから。 「篤子は篤子で月給から10万くらい家に入れてくれてるし、留太もこれから親の生活の面倒くらい、みるって言ってくれてるし、もう、私ら隠居できるわ〜」 お母さんが言うと、伯母さんが核心をついた発言をした。 「恵太は、どうせ、未散さんのモンやしねえ〜」 なによ、それはどういう意味なんでしょうか。 恵太さんの月給を独り占めしてるって言いたいのかしら。 「あの子、未散さんと結婚してから、痩せたんちゃう?」 おいおいっ! なんてことを言う!相変わらず、毒舌な伯母さんだわ。 「あ、ほんとほんと、マジで痩せたよね、恵兄。仕事しすぎやわ。」 いや、だから篤子さん、それは出張が重なってる、今の時期が一番忙しいって、恵太さんが…。 「子供とかできたら男の人はよう働くって言うから…未散ちゃん、もしかして、オメデタとか?」 「いいえっ!! お母さん。」 その兆候どころか、その前段階が、まだありませんのでっ!!! 「あら、そう〜。」 なんとなくいや〜な沈黙が流れた。 「じゃあ、未散さん、体調悪いとかとちゃうんやね?」 お母さんが、上目遣いで私に訊く。 なんだなんだ? 「え、ええ。いたって元気ですけども…」 菅野家の女性3人は、視線を交錯させた。 「健康なんやったら、なあ、未散さん。家でじっとしてるのもなんやし、パートにでも出たらどうや?」 伯母さんが言う。 「パートですか?」 「そう、時給のいい仕事があるんやで。」 「でも…。」 恵太さんが仕事するなって言ってたし…。 「恵太さんのお給料で、十分ですし…」 「あら、それやったら、パートで働いた分、ウチの家に入れてくれてもええんよ。」 お母さん! こわっ、こわっ、それが目的ですかっ!!! 「まあ、それは冗談やけど。」 うそ、絶対、本気ですよね。目が笑ってないですよ、お母さん。 「はっきり言うたほうがええよ。留兄の仕事手伝って欲しいってさ。」 篤子さんが、言い捨てるように言った。 「留太さんの仕事?」 「そうなのよ。留太の仕事なんだけど、今、一人だけ雇ってる従業員がいるんだけどね、未散さん、知ってるでしょ、実は…」 お母さんが私の目を真剣な目で見て続ける。 「来海っていう子なのよ。あの、恵太のときに東京からやってきたヘンな子。」 来海さん! そうか、恵太さんの前カノだった来海さん、留太さんとずっとうまくいってたんだ。 「私ら、あの子はちょっと苦手やから、未散さん、ちょっと偵察に行って欲しいんよ。」 「て、偵察!?」 「そう。まさかとは思うけど、留太が、あの子と結婚なんか考えてへんやろうかと思ってねえ。」 なんです? なんで、私が??? 「未散さん、恵兄いなくて、スルコトないでしょ? ヒマやんねえ。」 篤子さん、あなただけは味方だと思ってましたが…。 「ハイ、…確かにヒマです…。」 |
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